王宮を出た後、俺はキュレム達と別れて、学院に戻った。

シルナの代わりに学院長室の椅子に座り、ぼんやりと肘をつく。

…はっきり言って、シルナの状況は最悪だ。

成程、まだ裁判も行われていないのに、シルナが犯人扱いされているのも納得だ。

それだけ証拠が残されているのなら、最早疑う余地はない。

誰も彼も、シルナが犯人で間違いないと思ってることだろう。

…認めてたまるものか。糞めが。

ぐずぐずしてはいられない。今度は、彼に話を聞いて見よう…と、思ったら。

「羽久さん、良いですか?」

「んぁ?」

訪ねてきたのは、俺がたった今呼ぼうとしていた人物だった。