王宮の警備は、シルナを収監している施設よりもすんなりと俺達を入れてくれた。

俺達が聖魔騎士団の大隊長だからだろう。

フユリ様と会わせて欲しい、少しで構わないから、と頼むと。

公務の途中だったらしく、一時間くらい待ってもらうが、その後時間を取ってもらえるとのこと。

一時間くらいが何だ。さっきの施設では、それ以上に待たされたのだ。

辛抱強く待っていると、しばらくしてフユリ様がやって来た。

その人が、フユリ・スイレン女王。

ルーデュニア聖王国の統治者である。

「お待たせして、申し訳ありません。皆さん」

「いえ…こちらが勝手に訪ねてきたので」

たかだか一時間待たせただけで謝罪してくるとは。

あの担当官、見習えよ。

「それで…今日は、何の用でしょう?」

「…言わずとも、お分かりなのでは?」

「…そうですね」

イーニシュフェルト魔導学院の学院長が、思想犯の疑いで逮捕された、なんてニュースを。

フユリ様が知らない訳がない。

「シルナ・エインリー学院長とは、私も知らぬ仲ではありません。今回の逮捕には、私も心を痛めています」

「フユリ様、分かっていると思いますが…シルナは無罪です」

「はい。分かっています」

全く、フユリ様と来たら。

あの無能な警察共と違って、話が分かる。

さすがはルーデュニア聖王国の女王様だ。