誰がそんなことをしたのか知らないが。

ただじゃおかないぞ。

「まー有名人だし、目の上の瘤に感じてる人間は少なくないだろうね、学院長は」

恨んでる人間も多いだろうな。

あいつ、超長生きだし。

何かのきっかけで誰かに恨みを買ってても、おかしくない。

「学院長に濡れ衣を着せるなど…許せん」

「度胸だけは認めますけどね」

アトラスもルイーシュも、シルナを陥れた犯人に怒っていた。

しかし。

「ちょっと待ってください。皆さん、まだ学院長が誰かに陥れられたと決まった訳じゃありませんよ」

と、シュニィ。

まぁ…それもそうなんだが。

「どういうことだ?シュニィ」

「誰にも悪意はないけれど、ただ何かの行き違いで、学院長が疑われているだけではないか、ということです」

首を傾げるアトラスに、シュニィが説明した。

その可能性も充分にある。

捜査の手違いとかね。

「それなら、少し学院長を取り調べすれば、すぐに無罪だと分かりそうなものですけど…」

今のところ、シルナが釈放される気配はない。

それはつまり…。

「ってか、イーニシュフェルトの生徒に事情聴取すれば一瞬で解決するじゃん。学院長からそんな授業されたことある?って」

うん。

その辺、警察はやってみたのだろうか?

「そもそも、どうしてシルナが疑われるようなことになったのか…」

誰かが告発したとか?

生徒か?それとも、他の学校関係者か?

学院長がそんなヤバい授業してるのを見ました(or聞きました)と言った奴がいるのか?

誰だよ、そんなアホなこと言ったのは。

「…もう少し捜査が進まないと、まだ分かりませんね。様子を見ましょう」

「…仕方ないか」

シルナが冤罪なのは、分かりきっているのに。

手をこまねいていることしか出来ないのは、酷くもどかしかった。