シュニィは、酷く暗い顔で俺達の前に現れた。

「シュニィ…どうだった?」

シルナが連行されてすぐ、彼女には、シルナが何の罪で逮捕されたのかを調べてもらっていた。

聖魔騎士団副団長の彼女なら、自身の持つ権限で、警察の方にも探りを入れられると思ったからだ。

団長のアトラスでも事足りるのだが、しかし、相手の顔を窺いながら情報を探ると言う高等テクは、シュニィの方が遥かに上だ。

基本的にアトラスは、脳筋だからな。

それはともかく。

そのシュニィがこんなに暗い顔をしているということは…。

どうやら、シルナは余程良くない状態に置かれてるらしいな。

「…それで?シルナはどうなってるんだ」

「…それが…」

「…最悪の事態は覚悟してる。気にせず話して」

勿体ぶられる方が気になるよ。

「…それが、学院長…自分の学校で、生徒に禁忌の魔法や、魔導で人々を支配する危険思想を刷り込んでいる、と…」

「…は?」

一堂、ぽかーんと間抜けな顔を晒すことになった。

…は?

「それが魔導教育法に抵触したと…」

「…ばっ…かじゃねぇの?」

一番に声をあげたのは、魔導部隊大隊長の一人、キュレムだった。

「あの学院長が禁忌の魔法を教えた?危険思想を刷り込んだ?どうやったらそんな戯言思い付くんだ?」

…俺もそう思う。

考えるまでもない。

シルナがそんな馬鹿なことをするはずがない。

「これで…学院長が誰かに冤罪吹っ掛けられたってことはハッキリしましたね」

キュレムの相棒で、同じく魔導部隊大隊長のルイーシュがそう言った。

その通りである。

シルナがそんな馬鹿げた真似をするはずがない。

従って、シルナの逮捕は間違いなく冤罪だ。

それだけは間違いない。

「…問題は、誰がシルナに冤罪を吹っ掛けたか、ってことだ」

これについては、穏やかではいられない。