…なんだか、急転直下だなぁ。

本当にいきなり逮捕されるんだ。

私何か逮捕されるような悪いことしたかなぁ、と考えていると。

「シルナお前…!とうとう教え子に手を出したのか…!」

「ちょっと羽久!魔導教育法違犯って言われたでしょ!性犯罪じゃないよ!失礼な!」

私は!教え子に手を出したりはしません!

何言ってるの羽久は。

咳払いをして、私は改めて警官達に向き直った。

「えぇっと…。逮捕されるようなことをした覚えはないんだけど…。あなた達は一体…」

「貴殿には令状が出ている。大人しくついてこないなら、公務執行妨害も追加されるが?」

…逆に脅されてしまった。

彼らの私を見る目。完全に重犯罪者を見る目だ。

本当に何をしたのかな、私…。全然覚えがない。

そりゃ確かに昔は…。

「…あのさぁ。冗談抜きで、シルナが逮捕されるようなことをするとは思えないんだけど。したとしても、あんたらにバレるようなやり方ではしないよ」

羽久が、警官達にそう言った。

羽久…なんて良いことを。

「絶対何かの間違いだと思うから、捕まえるだけ時間の無駄だよ。帰ってもう一度調べ直した方が…」

「容疑者の引き渡しを拒むなら、貴殿も公務執行妨害で逮捕することになるぞ」

「…!」

羽久にまで脅しをかけるとは。

これはもう、完全に…。

ともかく、私がついていかない限りは彼らも引き下がるつもりはないようだ。

「分かった、行く。行きますよ」

私が何をしたのかは知らないけど、羽久の言う通り、誤解に違いないから。

早く行って、早く誤解を解いて、早く帰ってこよう。

「羽久、私が戻ってくるまで、学院をお願いね」

「シルナ…」

「それじゃ、ちょっと行ってくるよ」

夕食までには帰るからね、のノリで。

私は、両手に手錠を嵌められた。