──────…自分という存在が、抜け落ちてしまったかのような…そんな感覚に陥った。

俺は死んだのかな、と思った。

でも、死んではいなかった。

あぁ、いなくなったんだ。

俺の中に、ずっと居座っていた化け物が。

いつの間にか、消えてなくなってしまっていたんだ。

人生の大半が、雪刃と同居しながら過ごしたものだから…いざいなくなってみると、酷く空虚だった。

孤独と諦めと罪悪感が抜け落ちた俺は、何も残らないんだと知った。

もう死んだようなものだ。

良かったじゃないか。

俺にとって、死は救いだ。

例え雪刃がいなくなっても、俺が殺人の罪を犯したことは変わらない。

大勢の人間を殺した俺が、のうのうと生きているなんて許されない。

だからこれで良い。俺は助かったんだ。ようやく救われたんだ。

これでようやく、全部終わ…、

「こら!勝手に諦めてんじゃねぇ!」

「いたっ!」

何かが、頭にベシッ、とぶつかった。