話はまとまった。

「羽久、大丈夫?」

「…大丈夫に決まってるだろ」

雪刃の猛攻を、羽久は無理矢理時間を止めることで防いでいた。

大丈夫と言うが、羽久が限界まで魔力を酷使していることは明らかだった。

…駄目だな。これ以上は。

「もう良いよ、解除して」

「…分かった。解くよ」

「うん」

羽久が時魔法を解除するなり、雪刃が動き出した。

またしても、雨あられのような氷の刃が降り注いだ。

「ちっ…!」

羽久は、疲労した身体で必死にそれを防いだ。

これ以上、羽久に無理をさせる訳にはいかない。

「…今、あの子に出てこられちゃ困るからね」

羽久が限界を迎えたら、あの子が出てきてしまう。

そうすると、私の作戦がパーになりかねない。

だから、もう終わらせる。

「…助けてあげるからね」

君が、助けを要らないと言っても。

誰も君を助けられないと言っても。

でも、忘れてはいけない。

私は炎魔法で氷を溶かしながら、雪刃に肉薄し。

彼の胸に空いた、小さな穴。

雪刃が空けた、小さな刻印に杖を向けた。

「っ!?…魔導師風情が…!」

「…これで終わりだ」

忘れちゃいけないよ、吐月君。

君が助けを求めなくても。