「一人目の犠牲者、Aちゃんが殺されたとき…あなたは何処にいたの?」

「その場にいましたよ。Aちゃんが殺されたその場所に」

「…Aちゃんの殺害を認めると?」

「えぇ、認めます。Aちゃんだけじゃない。他の五人も…今までの何千、何万人も…俺が殺しました」

「…!?」

一人ずつ、全員覚えている。

俺が殺してきた人々。

他の無限の人々を守る為に、生け贄に捧げた人々。

「他にも犠牲者がいるの…?」

「えぇ、いますよ…。たくさん。きっとこれからも…」

俺が生きている限り、未来永劫変わらない。

「どうして、そんなことを…」

「…他にどうすることも出来なかったんです。あなただって、俺の立場だったら、きっとそうするでしょう」

ねぇ。

「目の前の一人を殺さなかったら、他の大勢を殺すって言われたら…目の前の一人を殺すでしょう?」

それは、間違ってないことのはずだろう?

俺に、他に何が出来たんだ?

「俺だって…殺したくて殺したんじゃない…。殺さないと、もっと多くの人が死ぬから…。その人達を守る為に…」

それが正義で、正しいことだと信じていたから。

もう二度と、俺の我が儘のせいで死ぬ人がいないように。

誰にも助けを求めず、頑張ってきたんだよ。

「終わらない苦しみがそこにあるなら…」

逃げることも、死ぬことも出来ないのなら。

「…心を壊してしまうしか、ないでしょう?」


















「…その必要はないよ、吐月君」