「…警察なんて、どうせ無能だと思ってたよ」

まさか、まだたった五人しか殺していないのに、捕まるとは。

前回の…あの黒い死神みたいなマフィア…ルレイアって人が、特別なんだと思ってた。

それにしても、あの人はどうやって俺を犯人だと断定したんだろうな?

もしかしたらあの人も、魔導師の類だったのかもしれない。

そうでないなら、きっと本物の死神だ。

「る、ルレイア…?」

Eちゃんが、震える声で俺を呼んだ。

「…ごめん、その名前、俺の名前じゃないんだ」

何度見ても、慣れないものだ。

友達だと思ってたのに、っていうその顔。

「…ありがとう、これまで仲良くしてくれて」

逃げるつもりはなかった。

本当に、俺を助けてくれるのかは分からないけど。

でも、最後に信じてみると決めたから。

俺は警官に従って、ゆっくりと立ち上がった。

「ちょっ…ルレイア!どういうこと?彼は何も悪いことなんてしてないでしょ!?」

「そうだよ!重要参考人って、どういう…」

DちゃんもC君も、この期に及んで俺を庇おうとしてくれていた。

そんなことするはずない、と。

ルレイアがそんなことするはずないと。

彼らは何も知らない。

本当の俺を知らない。

きっと本当の俺を知れば…何も知らずに俺なんかと仲良くしていた自分を責めるのだろうな。

「…ごめん」

一体あと、何回。

誰かを傷つけ、同じくらい自分も傷つかなければならないんだろう。

俺は、何も知らない彼らを置き去りにして、警官に連れられて店を出た。