翌日。
いつも通り学校に行ったが、俺の頭の中は昨日のことで一杯だった。
雪刃は俺の身体の中にいる。俺と同じものを見聞きしている。
でも、いつも目を覚ましている訳ではない。
少女を「食べる」ときは俺と同化しているけれど、それ以外のときは…起きていたり、起きていなかったり。
いつ起きているのかは、俺にも分からない。
だから昨日出会った二人の魔導師のことも、雪刃は見ているかもしれない。
今のところ、雪刃が何かしようとしている様子はない。
昨日の様子を見ていながら、どうせ彼らには何も出来ないとたかを括っているのか。
それとも、本当に俺が彼らに助けを求め、雪刃にちょっかいを出そうとしたところで、また俺の目の前で彼らを殺すのかもしれない。
俺に対する、見せしめの為に。
愚かにもお前がまた、誰かに助けを求めるから、こいつらは死ななければならなかったんだ、と。
それを俺に見せつける為に。
その可能性は充分にある。雪刃の…いつもの手口だから。
そのときのことを考えると、どうしても気が重くなってしまう。
もう一度あんなものを見せられたら、俺は正気を保っていられるのだろうか?
「ルレイア?どうしたの?ボーッとして」
「え…あ」
その日、俺達は放課後にDちゃんの喫茶店に集まっていた。
勉強の為だ。
学校では、もうすぐ定期試験が行われる。
そのせいで、部活も生徒会活動もないから、C君やEちゃんも一緒に喫茶店に来て、四人で勉強会をしているのだ。
「ルレイアも分かんねぇんだろ、この問題。マジ鬼畜だもんな~」
俺がぼんやりしているのは、目の前の数学の問題集が分からないから、ではなく。
自分はどうするべきなのか、本当に彼らを信じて良いのかを悩んでいたのだが。
C君は、良い具合に誤解してくれたようである。
「うん…」
俺も大袈裟に頷いてみせた。
C君達が純粋に俺を友人だと思ってくれていることは明白なのだ。
そんな彼らに、余計な心配をかけたくはなかった。
「仕方ないわね。私が教えてあげるわよ」
「ありがとう、Dちゃん」
この人達は、本当に優しい。
でも、もしシルナさん達が雪刃を引き剥がすことに失敗して、報復としてまた雪刃がこの時空の人々を皆殺しにしてしまったら。
C君達もまた、俺に殺されてしまうのだ。
俺はこれ以上誰にも死んで欲しくないし、誰も…。
…と、思っていた、そのときだった。
「あ、いらっしゃいま…。…!?」
喫茶店の扉が開き、顔を上げたDちゃんは、物々しい男達の姿に呆然とした。
紺色の服を着た警官数名が、俺の周りを取り囲んだ。
「な、何?何なんですか!?」
「お、俺達、何かしたか!?」
DちゃんもC君もEちゃん 、いきなり現れた警官に酷く怯えていた。
怯えていないのは、俺だけだった。
警官達が用があるのは、C君達ではない。
「ルレイア・ランディスだな。女児連続殺人事件の重要参考人として、話を聞かせてもらいたい」
数人の警官の中で、一番偉いらしい一人が、警察手帳を見せながら言った。
…成程。
昨日羽久さんが言っていた、警察に目をつけられている…という話は、本当だったらしいな。
いつも通り学校に行ったが、俺の頭の中は昨日のことで一杯だった。
雪刃は俺の身体の中にいる。俺と同じものを見聞きしている。
でも、いつも目を覚ましている訳ではない。
少女を「食べる」ときは俺と同化しているけれど、それ以外のときは…起きていたり、起きていなかったり。
いつ起きているのかは、俺にも分からない。
だから昨日出会った二人の魔導師のことも、雪刃は見ているかもしれない。
今のところ、雪刃が何かしようとしている様子はない。
昨日の様子を見ていながら、どうせ彼らには何も出来ないとたかを括っているのか。
それとも、本当に俺が彼らに助けを求め、雪刃にちょっかいを出そうとしたところで、また俺の目の前で彼らを殺すのかもしれない。
俺に対する、見せしめの為に。
愚かにもお前がまた、誰かに助けを求めるから、こいつらは死ななければならなかったんだ、と。
それを俺に見せつける為に。
その可能性は充分にある。雪刃の…いつもの手口だから。
そのときのことを考えると、どうしても気が重くなってしまう。
もう一度あんなものを見せられたら、俺は正気を保っていられるのだろうか?
「ルレイア?どうしたの?ボーッとして」
「え…あ」
その日、俺達は放課後にDちゃんの喫茶店に集まっていた。
勉強の為だ。
学校では、もうすぐ定期試験が行われる。
そのせいで、部活も生徒会活動もないから、C君やEちゃんも一緒に喫茶店に来て、四人で勉強会をしているのだ。
「ルレイアも分かんねぇんだろ、この問題。マジ鬼畜だもんな~」
俺がぼんやりしているのは、目の前の数学の問題集が分からないから、ではなく。
自分はどうするべきなのか、本当に彼らを信じて良いのかを悩んでいたのだが。
C君は、良い具合に誤解してくれたようである。
「うん…」
俺も大袈裟に頷いてみせた。
C君達が純粋に俺を友人だと思ってくれていることは明白なのだ。
そんな彼らに、余計な心配をかけたくはなかった。
「仕方ないわね。私が教えてあげるわよ」
「ありがとう、Dちゃん」
この人達は、本当に優しい。
でも、もしシルナさん達が雪刃を引き剥がすことに失敗して、報復としてまた雪刃がこの時空の人々を皆殺しにしてしまったら。
C君達もまた、俺に殺されてしまうのだ。
俺はこれ以上誰にも死んで欲しくないし、誰も…。
…と、思っていた、そのときだった。
「あ、いらっしゃいま…。…!?」
喫茶店の扉が開き、顔を上げたDちゃんは、物々しい男達の姿に呆然とした。
紺色の服を着た警官数名が、俺の周りを取り囲んだ。
「な、何?何なんですか!?」
「お、俺達、何かしたか!?」
DちゃんもC君もEちゃん 、いきなり現れた警官に酷く怯えていた。
怯えていないのは、俺だけだった。
警官達が用があるのは、C君達ではない。
「ルレイア・ランディスだな。女児連続殺人事件の重要参考人として、話を聞かせてもらいたい」
数人の警官の中で、一番偉いらしい一人が、警察手帳を見せながら言った。
…成程。
昨日羽久さんが言っていた、警察に目をつけられている…という話は、本当だったらしいな。