──────…最後に一回だけ信じてくれ、と言われた。



けれど、俺は完全に信じた訳ではなかった。

ただ、シルナというあの人の目が。

懐かしい…サヤノさんと同じ目だったから。

本気で俺を助けようとしてくれるんだってことが分かったから。

だから、最後にもう一度だけ…信じてみる気になった。

本当に助けてくれるなんて、甘い期待を抱いている訳じゃない。

これでもし、また雪刃を怒らせてしまったらと思うと、背筋が冷たくなる。

俺はまた、二度と見たくないあの景色を見なければならないのだ。

俺のせいで殺された人間の骸に囲まれて、愚かにも他人の助けを信じてしまった自分を、殺したくなるほど責めることになるのだ。

そう思うと、身体が震えた。

彼らは一度、ルーデュニア聖王国に帰ると言っていた。

一体何をしに帰ったのかは分からないが、このままこちらに戻ってこなければ良いのに。

もし雪刃が俺の中から消えてくれるのなら、それは願ってもないこと。

しかし、もしそのせいで彼らが死ぬようなことがあれば…。

誰一人、俺を助けてくれる必要なんてないのだ。