「畜生めが…。絶対許さねぇ」

「…同感だよ」

珍しく羽久が怒るのも無理はない。

私だって、少なからず憤りを感じている。

彼が一体何年、何千年あんな苦しみに一人で耐えてきたかと思うと。

吐月君に寄生して、ぬくぬくと餌を貪っている雪刃が許せないのは当然だ。

「で?どうやって雪刃を追い出すんだよ」

「うん。それなんだけど…私、ちょっと王宮にお出掛けしてくるから」

「あ?」

「その後図書館に行ってくるよ」

「…」

羽久の、この汚物を見る目。

酷くない?

「何呑気なこと言ってんの?あいつがあんなに苦しんでるときに」

「彼を助ける為に必要なんだよ。その間に…羽久は、シュニィちゃんに報告に行ってくれる?」

「…分かったよ。出来るだけ早く戻ってきてよ」

「勿論」

私だって、ぐずぐずしているつもりはない。

私達が何かしようとしているのを雪刃が嗅ぎ付けて、また良からぬことを企むかもしれない。

その前に、さっさと吐月君から雪刃を引き剥がす。

その為に。