言うまでもないことだが。

三人目の犠牲者、Fちゃんを殺したのは、俺である。

模倣犯などではない。

同一犯だ。

「模倣犯かー…。また同じことする人が増えたら怖いわね」

「いや~…。同じ犯人じゃね?だって、こんなエグいこと、誰にでも出来る訳じゃないだろ」

C君、君鋭いこと言うね。

その通り。ただ殺すだけじゃなく、心臓を抉り出すなんて猟奇的な殺人は、まともな神経では出来ない。

余程…頭の狂った人間でないと。

俺のような。

「じゃあ、何で三人目だけ遺体を放置していったの?」

「さぁ。俺は犯人じゃないから分からんけど…。案外、隠すつもりだったけど時間がなくて無理だったとか、そういう理由じゃね?」

「アンタ、適当ね…」

Dちゃんは、適当だと溜め息を溢したが。

実は、C君大正解なのである。

昨日俺は、ここの近くの民家に侵入し、「食事」をした。

食べた後は、いつも通り死体を隠すつもりだったのだが…。

死体を隠す前に、両親が帰ってきてしまった。

仕方なく、俺は死体を置き去りにして逃げた。

とは言っても…時間があったとしても、あの状態の死体を、完全に隠すことは難しかっただろう。

何せ俺は、家の中で殺してしまったのだから。

カーペットも、壁紙にも、血がべったりとついてしまった。

あれを完全に落とすのは難しかっただろう。

家の中で殺してしまったのは、間違いだったかもしれない。

でも、他に方法がなかった。

この間のように、都合良く道を歩いている子が見つからなかった。

このままでは、我を失って見境なく近くにいる人間を殺してしまいかねない、と思った俺は。

家に一人で留守番している少女を見つけ、その子を殺すことにした。

そのせいで遺体の始末が出来ず、そのまま置いてくる羽目になった。

家に帰って、変わり果てた娘の姿を見たFちゃんの両親は、何と思ったのだろうな。

家の鍵は、閉まっていなかった。

そのことを、きっと死ぬまで悔やみ続けるのだろう。

まぁ…家の鍵が閉まっていたとしても、俺には関係ないのだが…。

「いずれにしても、怖いよね。早く、犯人が捕まれば良いんだけど…」

「本当にね」

そう言ったきり、その話は終わった。

C君達は、すぐに別の話題…彼らにとって、もっと身近で重要な…午後の授業で行われる小テストの話に移った。

関係のない者にとっては、その程度の事件だ。

実際に死体を見ていない彼らにとっては、あくまでこんな事件は、テレビの中の出来事でしかないのだ。