…翌日。






「うわっ、ねぇ見てよ。昨日の事件…ネットニュースのトップになってる」

昼休み、Dちゃんがスマホの画面を眺めながら顔をしかめていた。

「は?昨日の事件…って、何?」

C君は、きょとんとしながらパンを齧った。

…知らない人も、いるんだな。

「馬鹿。今朝からテレビでずっと言ってるじゃない。女児連続殺人事件よ」

「女児…?半月くらい前に話題になってたニュース?」

「それは一人目と二人目でしょ。三人目の犠牲者が昨日、出たのよ」

「マジ!?」

今初めて聞きました、みたいな顔のC君である。

「何で知らないのよ…。今朝のニュースでずっとやってたじゃない」

「朝忙しくて、ニュース観ねぇもん…。…うわ、本当だ。ネットに出てる」

スマホを取り出して、C君は急いで確認した。

…そりゃそうだ。話題にもなる。

「しばらく大人しかったのにね…。三人目なんて…」

「しかも、よく見たらこの辺に結構近いじゃん!」

「だから今朝から話題になってるんじゃない。ニュースくらい観なさいよ」

…そう、三人目の犠牲者が出たのは、この辺りの近く。

ここから徒歩圏内にある小学校に通う、一年生の女子児童が。

自宅のリビングで、惨殺死体となって見つかった。

事件当時、両親は買い物に出ていて、留守だったという。

女の子がほんの三十分ほど留守番をしていた最中に起きた悲劇だった。

「マジかよ…。同じ犯人なのかな?」

「犯行の手口が同じだから、多分同じ犯人じゃないかって、朝のニュースでは言ってたけど」

「でも不思議よね。この三人目の子…」

と、Eちゃん。

「不思議って?何が?」

「だって、一人目と二人目のときは、殺した後、遺体を隠してたじゃない?」

「あぁ…海に沈めたんだっけ?」

「うん。それなのに、今回の三人目…Fちゃんは、そのまま家の中に遺体を放置してるじゃない」

「…そういえば」

さすがEちゃん。良いところに気づくね。

「これ、何でなんだろう。犯人、同じなのかな?」

「あー…。模倣犯って奴?」

「その可能性もあるんじゃないかな。一人目と二人目のときとは、事件が起きた場所も違うし」

模倣犯…か。

三人目、Fちゃんの遺体を放置したまま出てきてしまったのは、失策だったかなと思ったのだけど。

模倣犯の可能性が浮上するのなら、遺体を放置してきたのも、結果オーライだったかもしれない。