俺は今まで、色んな国の、色んな学校に転校してきた。

だから、どんな風に振る舞えばクラスメイトに受け入れられるのか、それを心得ている。

C君に目をつけて、彼と仲良くなったのも。

C君が、クラスのムードメーカーで、彼と仲良くなっておけばまず孤立することはないと踏んだからだ。

そして、その作戦は俺の予想以上によく効いた。

転校してきたばかりなのに、俺はあっという間にクラスに溶け込めた。

誰にも、何も疑われていない。

もう、すっかり慣れたものだ。

「そういえば、ルレイアは、何か部活には入らないの?」

「部活?」

Dちゃんに尋ねられて、俺は我に返った。

「そうそう、ルレイアもサッカー部、来いよ。うちは初心者も歓迎だからさ」

サッカー部に勧誘してくるC君。この人、サッカー部だったのか。

花形の運動部って感じだな。

「部活じゃなくて、生徒会も良いわよ。私、生徒会委員なの」

と、言うのはEちゃんである。

この子は生徒会…見た感じからして、真面目そうだもんな。

生徒会か…忙しそうだ。

どの学校でも、生徒会が暇な学校はなかなかないだろうからな。

サッカー部も忙しそうだが…これは学校によって違うか。

活動が盛んなサッカー部なら、朝から晩まで練習やってそうだが…。

このC君を見たところ、それに初心者でもOKということは、それほど強豪校という訳でもなさそう。

比較的緩めのサッカー部みたいだな。

「Dちゃんは?何か部活は…」

「私?いや、私はやってないの。部活終わったら、家帰ってお店の手伝いしてるから」

…お店?

「何か…自営業?」

「うち、家がケーキ屋兼、喫茶店なのよ」

へぇ。

たまにあるよな。ケーキ屋の横に、イートインコーナーみたいなの。

そういう感じのお店か。

「Cの部活がなくて、Eも生徒会の活動がない日は、私の店に集まって遊んだりしてるの。ルレイアもおいでよ」

「そうなんだ…。ありがとう、今度お邪魔するよ」

「何なら放課後、うちでバイトしても良いよ。人手足りなくて困ってるんだもん」

成程。それも良いかもな。

「他にも部活は色々あるから、興味ある部があったら、見学行ってみると良いよ」

「うん、そうしてみるよ」

こう見えて人生だけは、無駄に長いから。

無駄な特技だけは、色々あるのだ。

どの部活に入っても、それなりにやれるくらいには。

だが、出来るからといって、実際にやるかどうかは…別の話だ。