駅に向かって、電車に乗り。

遠くに、遠くに移動した。

出来るだけ、都会が良いな。

都会に紛れた方が良い。

都会に行って、適当な家を選んで、今度はそこの主人の記憶を変える。

その人の家族として、今度は合法的に家に置いてもらうのだ。

さすがに、これからまた屋根裏生活は御免だからな。

そして、年相応に学校に行こう。

前の世界でもそうするつもりだったのだが、そうする前に捕まってしまった。

今度こそ、普通の高校生の振りをしながら、生活しようと思った。

自分が普通でないことは分かっていた。

普通とはかけ離れている。

二人の女の子を「食べた」人間が、普通であるはずがない。

何度も何度も、時空を移動している人間が、普通であるはずがない。

それでも、俺は普通の振りをする。

だってそうしないと…もっと多くの人が死んでしまうから。

俺は普通の、しがない高校生でなければならないのだ。

それが世界を守る、唯一の方法と信じて。