天井が低く、夜の間寒いこと以外は、この屋根裏に不満はなかった。

だが、実はその二つ以上に辛いことがあった。

休日だ。

平日は皆出掛けてしまって、家の中に誰もいなくなるのだが。

休日は、常に家族の誰かが家の中にいた。

そのせいで、俺は屋根裏から降りることが出来なかった。

正直、これが一番辛かった。

狭いスペースの中で、起き上がることも出来ず、それどころかほぼずっと下のリビングに誰かいる状態だから、身動きもろくに出来ない。

横になって微動だにしないまま、丸二日。

夜になって、リビングが無人になれば、寝返りくらいは打てたけど。

昼間はずっと、ミイラのように固まって横たわっていることしか出来なかった。

二日間、ベッドに拘束されて寝たきり生活だ。

想像しただけで辛いのが分かるだろう。

辛い土日を過ごした後、迎えた月曜日、久々にリビングに降りたときは、身体がなまって上手く歩けなかったほどだ。

正直こんな週末は、何度も過ごしたいものではない。

それに、事件から二週間がたち…ようやく、ピリピリした空気が落ち着き始めていた。

全く世知辛い世の中だ。

事件の第一報を聞いたときは、なんて残酷な事件だ、と誰もが肝を潰したのに。

二週間もたてば、皆このニュースに飽きてくる。

興味をなくし、もっと別の、新しいニュースの方に気持ちが移ってしまう。

殺された二人の女の子の両親は…何週間たとうと、何年たとうと、悲しみや憎しみが薄れることはないのだろうけど。

関係ない他人にとっては、あくまでもテレビの中でたくさん報道されるニュースのうちの、一つでしかないのだ。

捜査がいまいち進展しないのも、人々の関心が薄れた要因の一つだろう。

二週間たつと、もう、誰もそんな「古い」ニュースは気にしなくなる。

お陰で、俺はこの家から出られる手はずが整った。