この二週間で、色々と変わったことがある。

俺が家の屋根裏の中に潜んでいることは、今に至っても全くバレていない。

それどころか、疑われている様子すらないけれど。

俺が殺したAちゃんとBちゃん、二人の女の子の事件については、いくらか進展があった。

最初は、ただ「刺殺された」としか報道していなかったが。

詳しい殺害方法も、今では報道されるようになった。

つまり、喉と胸に深い傷があって、心臓が抉り出されている、という情報が、世に出回っているのだ。

しかも、その抉り出された心臓は、未だに見つかっていないことも。

あまりに猟奇的な殺害方法に、誰もが騒然とした。

心臓が見つからないのは当然だ。そんなものは、俺がとっくに食べてしまったのだから。

遺体が見つかってから一週間ほどたった頃、殺されたAちゃんの両親が、コメントを発表していた。

「私達は突然娘を奪われました。娘は何も悪いことなんてしていないのに。犯人を許すことは出来ません。一刻も早く見つかり、裁きを受けてもらいたいです…」みたいな、そんな内容だった。

まさか犯人が、他人の家の屋根裏に隠れているとは思うまいな。

悪いけど、捕まって、裁きを受けてあげる訳にはいかないのだ。

何とか逃げなくては。

犯人の捜索についてだが、実は、こちらも少々進展があったようだ。

昼間、家族がいなくなったときは、何時もニュースを観ていたから…こういう情報には詳しい。

どうも、警察からの聴取を受けて、商店街のおじさんが、「昼間、怪しい男を見た」と証言したらしい。

顔色が悪く、息も荒くて、声をかけたが「黙れ」と手を振り払われた。様子がおかしかった、と。

警察は、その人物を参考人として探しているとか。

成程。それ、多分俺のことだ。

正直、そのときのことはあまり覚えてない。

そんなおじさんいたかなぁ、と思うのだが、何だかいたようないなかったような…。

でも、状況から言っても…その怪しい男は、多分俺だ。

間違いないだろう。

もうどうしようもない。いつもなら、目撃者には充分注意するのだが…あのときは本当に余裕がなかった。

見られてしまったものは仕方ない。

警察がいくら俺を探そうと、おじさんの曖昧な記憶だけでは、見つけることは出来まい。

何せ俺は、あれからというもの、この屋根裏から全く動いていないからな。

だが…それも、今日までだ。

事件が起きてから二週間と少し。俺は、いよいよこの屋根裏を出ていくことにした。