目が覚めると隣には誰もいない。


夜宵さんは一体どこに行ったのだろうか。


それ以前に今は何時なのだろうか。


一回部屋から出てみよう。


扉の前に立ち外に出た。


すると


「ええっと…深紅ちゃんだよね?どこに逃げるのかな」


目の前に出てきた男から刃物を向けられた。


えーっとこれは……


脅されてるのかな?


そういえば、夜宵さんが刃物は先端恐怖症の人しか持てないと言っていたから、今目の前にいるのはその人なんだろう。


『今、何時?』


と聞きたいが、声が出ないので手首に指を当てて時計を指すジェスチャーをする。


ジェスチャーしていることに気づいたのか、目の前の男はスマホのメモアプリを差し出してきた。


刃物を向けながら……


『今、何時か気になって部屋に時計が無かったので外に出てきました。』


「へぇー、そうなんだ。今は朝の3時だよ。
ちなみに俺は乙川幸人。今日から深紅ちゃんのお世話係兼見張り係です。よろしくね」


そう言って幸人さんは刃物を下ろした。


幸人さんによろしくの意味を込めてお辞儀をする。


「それにしても、俺が刃物を向けて逃げない人、初めて見たなぁ。

深紅ちゃん面白いね。

……まぁ、そんなことは置いといて、まだ早いからゆっくり休みな」


そう言って、幸人さんは私を部屋に押し込んだ。


心は元気でも、体は疲れていたみたいで、ベットに入った瞬間夢の世界に入ることになった。