あれからだんだんと友瀬と俺との距離は遠くなっていった。
 話しかけようとしても、友瀬が俺を避けていく。

 なんで避けているんだ。
 俺は知りたいんだ。
 あの葬式の時に、お前がなんであんな顔をしていたのか。

 話せよ。
 秘密を共有しよう。
 お互い楽になろうよ。
 
 俺たち友達だろ?

 もういっそ、内海のことを二人で忘れようよ。

 
 ***

 まっすぐに家に帰ると、知らない靴が二足綺麗に並んでいる。黒いよれよれの革靴。父さんのお客さんかなと思ったが、父さんはまだ帰ってきていない。

 嫌な予感がした。

「悠。お帰りなさい。友瀬くんは? 一緒に帰ったんじゃないの?」

 お母さんがかしこまった口調で話しかけてくる。

「知らないよ。最近は一人で帰っているから」

「今、警察の人が来ているの。内海君が亡くなった時の話を聞きたいそうよ。私も隣で話を聞くから、正直に話をしてね。お母さんがついてるから」

 警察? 
 予感が的中し、俺は頭のてっぺんが冷たくなるのを感じた。

 居間に入ると、五十代くらいの年配の刑事と新人らしい若めの刑事が座っていた。
 俺は緊張しながら席に座ると、年配の刑事がゆっくりと口を開いた。

「石丸悠くんだね」

「は、はい。そうです」

「時間が時間だから早速話をするね。君の友達の内海大樹君が学校の階段から落ちたのは知っているよね」

「はい。知っています……彼が階段から足を滑らせて落ちたって」

「それがね。事故じゃなかったんだよ」

 事故じゃない?
 俺は眉間に皺を寄せて、刑事を見た。

「どうもね、誰かに突き飛ばされた形で倒れていたみたいなんだ。こう、仰向けでね。普通足を踏み外して落ちるときはうつ伏せになってないとおかしいだろう?」

「誰かに突き飛ばされた?」