家に帰り、俺は引き出しから△△大学の合格通知をまじまじと見る。

 俺はわずか五点差で△△大学に落ちていた。しばらくして大学側から連絡が入り、一人空きができたから追加合格としてうちにきてくれないかと電話があったのだ。

 △△大学にストレートで合格したわけではない。

 俺は追加合格者だ。

 それが悪いことではない。
 悪かったのは、五点差で不合格になったその次の日のことだ。

 俺は浪人確定となり、この先のことを心配しながら教室に入った。
 すると内海が嬉しそうに、俺に話しかけてきた。

「悠! 俺、△△大学通ったんだよ! お前も受かってるよな?」

 この時の俺は余裕がなかった。
 ただ心にあったのは、

 ムカつく

 それだけだった。

 彼に心無いことを言ってしまったんだ。


「お前、まじ死ね!」


 そしてその日の夕方、内海は階段から落ちて死んでしまった。

 まさか。本当に。
 死ぬなんて。

 俺はそのことを思い出して、がっくりと自室の椅子に腰掛ける。

 内海大樹。
 小学生の頃から何をするのも一緒で、夢だってたくさん語り合った。
 泣いたり、笑ったり。嬉しさも悲しさも常に共有してきた親友だった。

 △△大学に落ちたのは自分のせいなのに。

 俺は最低な人間だ。
  
 一人空きができた。

 大学側から電話が来たのは、内海が死んでから二日後だった。

 きっとその空きはアイツのこと。

 その空きを俺が埋めた。

 合格。

 あいつのおかげで。

 あいつが死んだおかげで。