「クソっ。」

圧倒的に戦力が足りない。

人数が足りない。

俺も戦っているから、指示もまともに出せない。

こんなとき、あいつが、紗矢がいたら。なんて、俺はいつまで紗矢に頼っているんだ。情け無い。

ガラガラ。

体育館のドアが開いた。

誰だよ。応援か?

全員が動きを止めた。

視線が動く。

その先にいた。

「はる。」
無言で少し下を向きながら立っていた。すると、横で声が聞こえた。

「おい!yellowは警備だ。何してやがる。職務放棄か。誰に逆らってんだ。あと、此処にどうやって来た。REDはいなかったのか。」

彼女から発された声の中で1番大きい声だった。
「REDは倒しました。退いてくれなかったので。えへ。」

すこし微笑みながら答えた。

全員が息を呑んだ。
できる筈がないのだ。

たかがヘビ座yellowだ。
そして、仲間をなぜ。

全員が止まっていたのも束の間、すぐに戦いは再会された。

はるは急に走り出した。
講堂裏に向けて。

まずい。あそこは俺たちの司令塔がいる。やられる。

そう思った。

「止まってる場合じゃないでしょ!
茉奈!左サイドバック、右アップ!
たけや!バックキック!」

はるの指示に皆が動きはじめた。

こんなにはやく場の状況が読めるなんて、何物だ。

すると、講堂裏から音が聞こえた。

ガン、ゴロゴロ、ガッシャーン。
司令塔がはるを部屋から追い出したらしい。

でも、きっとはるなら大丈夫なんだと思う。

前、たまたま空き教室で寝ようと思った時、閉じ込められたはるを偶然助けたことがあった。

腕を掴んで持ち上げて、外に出そうとした。

力加減が馬鹿になっていて、力を入れすぎてしまったのだ。

普通の人なら骨折するくらいの強さだったのに。はるは跡の1つもなかった。

何者なんだ。ずっと思っていた。