《18:00 図書館前》



午後の訓練が予定より早めに終わったので、すぐに図書館へ行って図書館で得られる“優香”に関する情報を消した。

消したところで遊に関してはもう遅いのだが、とりあえずこれ以上は他の人に見られずに済む。

情報といっても解像度の悪い集合写真写真一枚だったから、あれで私と“優香”を結び付けたんだとしたらもう探偵になれよ遊。

と。Eランク寮に戻る最中、雪の中傘を指して立っている女性を見つけた。

「……雪乃じゃん。こんなとこで何してんだ?」

私の声を聞いて、雪乃がこちらに視線を向ける。

はえー、何回見ても清楚系美人だわ。

「寒くねぇ?」
「……今日は一ノ宮様のお相手をする日なのですけれど……少し、早い時刻に着いてしまって」

早く着いたならSランク寮の中で待てばいいのに、と思ったが、そういえば雪乃と泰久たちはそう仲良くも無いんだった。

「ふーん。あと何分くらいなの?」
「2時間です」
「2時間!?」
「ぼーっとしていて、かなり時刻を間違えてしまいました」
「ぼーっとしていて!?」

間違えすぎじゃないだろうか!

「……オレの部屋来るか?」
「え?」
「あっ、いや、いやいやいや!何もしねーよ!?ちょっと休憩でもと思って」

って何だこの何もしない詐欺する男の典型みたいな台詞は。

「じゃあ、お言葉に甘えて……」
「えぇ!?いいの!?」
「はい?」
「いやだって……オレだって男なわけで……」

雪乃は私の言いたいことを察したのか、くすっと優しく笑った。

「初めて会った時から、哀様はあまりガツガツした男性ではないんだろうなと思ってますから」
「ガツガツした男性じゃない……?」
「一般的な男性って、体と心は別でしょう?でも哀様は、そうじゃない男もいるんじゃないかって言いましたよね。そうじゃない男性もいるって考えられるってことは……哀様ももしかしたら、そうじゃない男性の1人なのかなって思ったんです」

そうじゃない男性ってか、そもそも男性じゃないんだけどね!

……複雑な気持ちだけど、雪乃がいいなら部屋にお招きしよう。

他のEランク隊員が廊下にいないことを確認してから急いで雪乃を部屋まで連れていった。

こんな美人と付き合ってるなんて噂されたらもう目立つこと間違い無しだよ。あと絶対妬み嫉みがあるよ。