じゃあ二人は何者なんだろう?


 「あいつらは悪魔だ。ユウもな」


 顔に出ていたのか、トーガが疑問に答えてくれる。

 なるほど。魔界の住人というのはその名からして毒々しいものだと思っていたがそうでもないようだ。


 彼等の顔立ちは凛々しく、美しい宝石を思わせた。


 それに、彼等のアタシに接する態度は天使のような野蛮なものではない。心の奥が少しだけ軽くなったような気がした。

 トーガが言ったように、此処には自分の怖がるものはないと思えた。


 「どうした?眠いのか?」


 黙り込んだアタシにそう声をかけるトーガ。

 そのつもりはなかったのだがそう言われると睡魔が襲ってくる。


 「……うん」


 そう伝えると身体が唐突に倦怠感を訴えた。


 色々なことが起こりすぎて心が追いつかない。


 父さんと母さんが此処に居ないことに何の現実感も湧かない。

 そんな自分に苛立ちと嫌気が差す。