「あのなあ、なんで俺だけビビってんだよ?」
納得いかないという風にディランは口を尖らせるが、ビビるなと言われるほうが困る。
枢ユイトを思わせる目つきもそうだし、第一ここにいる人達のことも良く知らない。それなのに此処で暮らすことになったんだから、不安で怖いに決まってるじゃないか。
「いくら俺でも傷付くぞ」
アタシがまだディランのことを何も知らないというのにそんなことを言われる。
「ディランがどうかしたのか?」
腰を低くしてアタシと目線を合わせるトーガ。
トーガの双眼は何となく安心出来る気がして、アタシはボソリと声を紡ぐ。
「……似てるから」
「似てる?誰に?」
穏やかな声音で問いかけてくるもんだからアタシは無意識にトーガの服の裾を小さく掴んでいた。