戸惑っていると青年は「ヒカリ」と、再度名を呼ぶ。


 アタシが不思議に思い青年を凝視すると、


 「トーガ」


 またも彼は言葉を発するが何を伝えたいのかわからなくて焦りだしてしまう。
 

 「俺の名前だ。トーガ」


 そんな中、彼のその発言でやっと言葉の意味を理解した。


 彼、トーガは目を細めて優しげな眼差しをする。


 「……トーガ、」


 オウムのように繰り返すアタシを見たトーガはくくっと笑った。


 「ああ、よろしくな」


 サラリとした琥珀色の髪が揺れ、狼のような耳がピクッと動くのを見ながらこくりと頷いた。


 「私はルディ」


 トーガを押し退けて前に躍り出て来た彼女はそっけなく言う。


 「ルドゥーナって言うんだけどみんなルディって呼ぶからルディって呼んで」

 「……ルディ」

 「私はヒカリって呼ぶからね」