そのことに青年の表情に僅かな苛立ちが見えたのをアタシは見逃さない。
「ヒカリちゃん、この子は私の息子のユウ。この城で暮らすことについてはこいつから聞いておくれ。顔は怖いけど面倒見はいいはずだからさ」
えっと……?
「……あの、暮らすって……?」
耳を疑う言葉が放たれたような気がする。
暮らす、とか、この怖い青年に聞け、とか。
状況が理解できていないのに何だか話が自分抜きで進んでいる気がする。
「そのままの意味だよ。天使の奴らがヒカリちゃんを探してる。でも此処にいれば安心だからさ」
それでもやはり理解できないのは、アタシの脳がまだ正常になっていないからなのか、元から理解能力がないだけなのかどっちなんなろう。
そもそも、どうしてアタシがここで暮らすことになるんだろう。