「どうって?」
獣耳の彼は、先程の青年とは微塵も違っていて、億劫な様子も出さずにアタシの言葉に耳を傾ける。
「…………死ぬ……つもりだったから……。あの場所で誰でもいいからアタシを殺して欲しかった」
助けてもらったのになんて言い草だろうか。
それでも、それがアタシの本当の気持ちで、今更それを取り繕う言葉なんて出てくるわけもない。俯いたアタシには彼等が何を思っているのかなんてわからなくて、ひたすらにこの沈黙が怖いと思った。
「死にてえのか?」
そんな静寂の中、その声はアタシに問いかける。
何の温度も感情もない言葉は冷淡に問いかけるのだ。
深い碧の瞳が無感情に見るものだからアタシはまた俯いて布団の裾を握り締めて小さく頷いた。