そんなアタシに、
「おい、大丈夫か?」
ディランとルディとはまた別の声が聞こえたかと思うと大きな手がいきなりアタシの両手を掴み顎を持ち上げた。
「ひっ……!」
か細い悲鳴が喉を鳴らした。
咄嗟に抵抗を試みるががっちりと固定された体ではその男の手に敵うことは出来ず否応なしに対面することになった。
目の前にいた男はサラリと流れる琥珀色の髪に狼を思わせるような尖った獣の耳をしていた。そして力強いその瞳はみっともなく怯えたアタシを映す。
男はアタシと目を合わせたまま逸らそうとはせずただ黙ってアタシを見つめるせいでアタシもその男の瞳から目を逸らせずにいた。