「ねえ、聞こえてる?」


 何も答えないアタシに苛立ったのか彼女の語尾が少し強くなり、苛立ちを示しているのがよくわかる。


 それに焦り何か答えようと考えるが頭には何も浮かばない。ひたすらに父さんと母さんのことしか考えられない。


 「……ぁ、」

 「落ち着けよルディ 。状況を理解できてないんだろ」


 そう言ったのはルディと呼ばれた女の子の隣の椅子に座る青年だった。


 鮮やかな赤い短髪の髪から除く鋭い目元がこちらを見つめる姿。それはアタシに枢ユイトの瞳を思い出させた。
 

 「……ひ、ッ」


 怖い…!


 無意識のうちにアタシの身体は強張り、彼の瞳から逃げるように後ずさっていた。その行為をよく思わなかったのか青年は眉を小さく動かして探るようにこちらを見つめた。