──────無理だ


 そんなの、できない。


 二人がいないのにどうやって生きろというんだ。



 森での世界しか知らないアタシにはこの世界で生きる術などわかるわけもない。


 何処で、どう生きればいいのかすらわからないのに。


 酷すぎる。独りぼっちのこの世界をどう生きれば……。




 『哀しい時は歌うの』




 先程の言葉を母の声が告げていたのを思い出す。



 アタシは、それに従って微かに歌う。今はそれしか出来ないように感じた。こんなことをしても何にもならないとわかってるけれど、歌わずにはいられなかった。



 この状況が良くなるわけでもないし、奴等が此処に来ていたら居場所を知らせているようなものだ。


 見つかってしまったら二人の努力が無駄になるのに。


 それでもアタシは、小さく儚く、花園の中でただ母の言葉を信じた。