「ヒカリってばその唄本当に好きなのね」


 その言葉にアタシは頷く。


 アタシがこの唄を何度も歌う理由なんて一つしかない。
 この唄は母の好きな唄だから。


 幼い頃から母は子守唄として何度もこの歌を歌い聴かせてきた。何度も聴いたその唄を耳によく馴染み、アタシはいつの間にか覚えていた。


 「母さんの唄は全部好きだけどこの唄が一番好き」


 その言葉に笑顔になる母は向日葵のようだ。

 凛とした気高い美しさは、空に向かい真っ直ぐ咲き誇る向日葵そのもの。


 アタシの自慢の母だ。



 手を繋いだまま緑の草原を抜けるとアタシたちの家が見えてくる。木々の木漏れ日の中に佇む小さな家は隠れるようにして建てられている。


 ひっそりとした場所に建てられているものの、家の周りには鮮やかな花が咲き誇っているおかげで雰囲気は決して暗くはない。