どこまでも己たちの私利私欲にしか目がないのだろうか。
ヒノカは思わず声を張り上げ激昂した。
「魔界には魔界にしか生きられない種族だっている!あなたはそんな人達を殺すつもりですか!?」
「魔界の者たちがどうなろうが我々には関係ない」
食ってかかるヒノカにカイナは冷たい瞳を投げかけた。
あっさりとした冷酷な返答にヒノカから乾いた笑いがこみ上げる。
そうだった。
天使はいつも冷酷で、無情で、人間たちが語る温かい天使なんかじゃない。
慈悲深い天使なんかじゃないのだ
唇を噛み締めると血が垂れて鉄の味が口内に染み渡る。
ヒノカは怨みの籠もった瞳を真っ直ぐカイナに向けて足につけていた短剣を素早く取り出し、目にも止まらぬ速さで駆け出した。