「ダメ! 父さんも行こう!?」


 父はそれに首を僅かに動かし、混乱するアタシを見て困ったように眉を下げた 。それは聞き入れられない、と言っている表情に心臓が壊れそうなくらい音を立てる。


 「ヒカリ行くんだ」


 世界が一気に音を無くしたかのような静寂が訪れる。それでも心臓は早鐘のように脈打ってアタシを急かす。


 「…や、だ……、い、行かないッ!」


 絶対に父の腕を離すな、と脳が訴える。

 当たり前だ……アタシだって離す気はない。


 何度も「嫌だ」を繰り返し、アタシを制止する母を振り切ってみっともなく喚いた。周りなんて見えないくらいに。


 「やだ、絶対ッ!嫌」

 「今はそんなことを言ってる場合じゃない!!」

 「……ッ」


 突然の大声に体がわかりやすくビクッと震えた。