背中にぞわりと悪寒が走り体が怖気づく。
「な、枢ユイトッ!?」
半ば叫ぶような声はアタシがたった今見つめていた男に向けられていた。
「、だ、誰……?」
「人間よ…。人間界の最高祓魔師と謳われた男 。あの男とも手を組んでいたのッ?」
痛いくらいにアタシを隠すように抱き締める母は焦りを見せている。
それほど危険な人間なのだろうか。
アタシの知ってる人間は、アタシたちより短い命を持つ力もない者達だということだけだ。そんな相手に母はどうしてこんなに焦っているんだろう。
そんな中、父がアタシ達を庇うように前に立ちはだかった。大きな背中からは感じたことのない威圧感を感じて僅かに不安が芽生えた。
「ルカ、その娘をこちらに渡せ」
「それはできない」
嗄れた声が機械的な言葉を述べる。