「「....ッ!」」
首を傾げるアタシと違い、二人は何かに気づいたのかそれぞれ身構えた。
状況を理解できていないアタシを母は自分の元へ引き寄せる 。険しい二人の表情に不安が募る。
そして一瞬風が吹いたかと思うと爆風が起き風は黒く変わっていくと一点に集まり渦を巻いていった。襲いかかる風の力に耐えながら其処を凝視していると徐々に黒い渦が小さくなっていく。
やっと黒い風が晴れたかと思うと、其処には数人の人影が見えた。
「親父…ッ!」
父の視線は数人の人影の先頭にいた人物に向けられていた。
父の視線の先にいたのは、削いだように尖った顔に年季の入った皺が顔に刻まれた威圧感のある男。秀でた額の上から流れる白髪から見える窪んだ双眸は鈍い光を光らせていた。
その面影はどことなく父に似ている。