「名前はヒナタ。俺とヒノカが一緒になりすぐにできた子だ。一時はここで一緒に暮らしたこともある」


 父と母は懐かしむように目を細めた。


 「ただヒナタはヒノカの血を濃く受け継いでいた。だから魔界の知り合いに預けたんだ」


 母の血ということは、悪魔の血を濃く受け継いだということだろう 。


 「ここで暮らすよりは幸せだからな」
 

 暗く、悲しそうに瞳が細まった。


 二人と離れて暮らすことが幸せ?
 そんなの、アタシは嫌だ。


 だけど、反対に父が言いたいことの意味がわかる気がした。


 ここにいるアタシは″いない存在″

 誰にも見つかってはいけない存在。


 "いない存在"として暮らすよりだったら、ちゃんと存在して暮らす方がずっといいのかもしれない。


 二人の考えはそうなのだろうか?