「……それがどうかしたの?」


 少し震えるような自分の声が聴こえると、二人は何も言わず黙り込んで俯いた。



 暗い沈黙が訪れた。


 誰も何も言わない。ただ外から陰鬱な風の音がたまに聴こえる。


 そんな沈黙が続いたが、それを破ったのは父だった。


 「………お前には姉がいるんだ」


 先程の会話とは何の脈絡のない話だ。いきなりのことにアタシの顔は何とも言えない表情になっていたに違いない。


 「お前が生まれる何十年も前に生まれたんだ」


 父は気にもせずに話を続けるがアタシの頭はついていかない。


 姉がいるだなんて、そんなの初耳だ。

 そんな聞いたことのない話をどうして今?

 今しなければならない話なのだろうか?

 それが二人の様子がおかしい理由?


 頭は疑問だらけなのに父はそれでも話を続けた。