それにこの森は何もないわけではないのだ。



 小さな生き物も鮮やかに咲く花もある。流れる川で水遊びをするのも一つの楽しみだ。


 考えてみればつまらないなんて感じたことは生まれてから今まで一度もない。

 
 それなのに二人はたまにアタシに申し訳なさそうに謝る。


 不自由な生活をさせて申し訳ないと。


 そう思うことなんてないのに。


 アタシはずっと此処で、二人と居られればそれでいいのに。


 唄を歌って、森にいる生き物と遊んだり、それから、二人と笑い合って。



 これがアタシの世界でいいのだから――