「舞踏会にいる人たちから聞いたよ。君のことを。それで実際にこの目で確かめたいんだ」
「殿下! おやめになったほうが。下手をすれば私のどんくささで怪我をします」
「いや、私はそんなことで怪我をしたり、君を嫌いになったりしない。だから賭けよう。私が君に音を上げたらパーティーには参加しなくていい。だが、そうでない場合は、パーティーに参加してもらうよ。いいかな?」
どうして殿下は私のためにこんなにしてくださるのだろう。そんなに熱心に言われたら、うんと言うしかない。
「わかりましたわ殿下。今日1日私とお付き合いください。きっと皆が言うように呆れて逃げ出すでしょう」
そうだ。
きっとユーリ王子も同じ。
私のどんくささで嫌気が差してすぐにでも音を上げてしまうだろう。
期待も何もない。
ただユーリ王子が怪我をしないように気を付けなければ。