シンシアお姉様は私と違って、完璧なレディだ。ダンスも勉強も手芸も生け花も私より遥かに上。婚約者はもう決まっており、近々結婚式が行われる。

「シャーロット。私の結婚式では大人しくしていなさいよね。どんくさいあなたがいるから恥ずかしいったらないわ。全くあなたは、この家のいい恥晒しよ」

「ごめんなさい。シンシアお姉様」

「あなたと姉妹だなんてほんとに嫌なの。早くどこか適当な殿方に嫁いで、視界から消えてくれる?」

「わ、私も頑張ってるんだけど」

「あなたはなにやってもグズなのよ!」

 私は何も言い返せない。
 たしかに私がどんくさいのは間違いがないし、お姉様が完璧だと言うことは事実だ。

「明日の舞踏会、あなたと時間をずらして参加するから。私に話しかけないでよね」

「うん、わかったわ」

 そう言うとシンシアお姉様は、背筋を伸ばして気品高く歩き去っていく。

 神様は不公平だと思う。
 私にできることは歌を歌うことだけ。
 シンシアお姉様の才能の1個だけでも私のものにできれば、周りから疎まれることもなく、誰からも好かれたであろうに。
 
 私の友達は、小鳥だけ。
 窓を開けて歌を歌えば、やってきてくれる。
 あぁ小鳥よ小鳥。
 私も人間ではなく小鳥であれば、皆から好かれたのだろうか。