「なんであなたなんかがユーリ王子の誕生日パーティーに誘われるのよ」

 シンシアお姉様が羨ましそうに私を見る。

「ねぇ、シャーロット。どうせ恥を掻くだけなんだから私と交代しましょうよ。デルファイン家を代表してパーティーに参加するんだから。私が適任ではなくて?」

 いつもの私なら、簡単にお姉様に譲るところだろうが今回は違う。

「いいえ、お姉様。今回は私が行きます。ユーリ王子は私を誘ったのですから」

 言い返されると思わなかったのだろう。
 シンシアお姉様は驚いていた。

 そう。
 この誕生日パーティーだけは絶対に成功させる。 
 ユーリ王子のために。
 私のために……。

 パーティー会場に着くと、名のある家柄の貴族たちが集まって話をしていた。デルファイン家の家柄的にはここに参加しても不自然はない。
 
 だが私はどこか場違いな感じがして、広間の隅でひっそりとパーティーの様子を見ていた。

「おや? これはこれはデルファイン公爵家のご令嬢、シャーロット様ではないですか」

 私に話しかけてきたのは、1人目の婚約者だったダンカン公爵だった。

「まさかあなたがこちらへ来られるとは。殿下に呼ばれて?」

「そうですわ」

 私がそう返すと、公爵はふぅんと軽蔑な眼差しで私を見る。