私はお人好しだったのかもしれない。
中学時代からの親友だったから、信頼していた。
だから、借金の連帯保証人にもなった。
だけど…
その友達は夜逃げした…

ヤクザの借金取りがやって来て言った。

「こっちはねぇ、もう随分待っているんですよ?
100万円、今ここできっちり払ってもらおうじゃねーか!」

ヤクザは息巻く。

「お、お、お支払いは必ずします。
でも、今銀行から下ろしても70万円しか無いんです…!
だから、あと少し…」

私はヤクザにビビりながらも、そう言った。

「何をお花畑の中みたいな事言ってるの?
俺たちはなぁ、お人好しの金取りじゃねーんだよ!
なぁ、夏野さん。
70万円しか無いなら、残りは身体で払っちゃどうだい?
と言ってもエロい意味じゃない。
臓器売買してさ。
なぁに、腎臓なんて2つあるんだから、1つくらい無くたって死にゃあしないさ。
ねっ?」

ヤクザは気味の悪い笑顔でそう言った。

私は銀座に向かって走り出した。

ヤクザが後ろから追ってくる。
クネクネした裏路地を曲がり、銀座のGUCCIにたどり着いた。
でも、ヤクザはもう…
私の真後ろに…

私はその時!
GUCCIから出て来た男の人の腕を掴んだ。

そして叫ぶように言った。

「私の処女30万円で買って下さい!」

男の人は目を白黒させている。

それはそうだ。
買い物を終えて店から出たら、見知らぬ女が処女を買ってくれ、と言うのだ。

「おいっ!
捕まえろ!」

ヤクザは言い、私に3人がかりで飛びかかってくる。

もうダメだわ…!

そう思った時…

「待て。
30万円払えば良いのか?」

その男性は言った。

「おいおいおい、いくら金持ちでも、いきなり30万円も…」

そうヤクザが言った瞬間、男性は財布から札束を取り出した。

「100万円ある。
釣りはいらない。
その代わりその娘はもらう。」

男性は言った。

私は安心したとのと、走って酸欠だったので、気を失いかけた。
男性が私を抱き上げ、待たせていた車に乗せた。

こうして、ここから私と彼の物語は始まるのだった。