コンコン
「失礼します。」
あれ?誰もいない。部屋変わったのかな?するとドアが開いた。
「何してるの。」
「え。」
くもくんだった。
何故彼がここにいるのか。何故彼はこの部屋に来たのか。全くわからなかった。複雑な事情があったらいけないと思いほとんど家族のことや友達のことを聞かなかったから。
そのことを聞くこと、話すことを避けていたから。聞くしかなかった。
腹を括った。何を言われても受けとめてみせると、
「あの、どうしてここに」
腹を括ったにしては小さい自信のない声だった。
くもくんはあなたこそ何故ここに?っていう顔(多分私もしていると思うが)をしながら答えた。
「弟の、病室なんだ。あんまり来れてなかったから。僕、一目見たくて、、。弟がずっといたここを。で、なんでもえはここにいるの。」
「友達に会いに来た。でもいなかった。それだけ」
もっと不思議そうな顔をして言った。
「友達ってこの部屋に居た人?」
それ以外なんだと思うんだろう。
「そう、、。ここに居た現実だった。ここに思い出が全て詰まってる。」
一瞬泣きそうな顔をして、言った
「星か。星の友達だったのか。君が、もえが星の支えだったのか。」
ほしくんの名前が何故出てきたのか。何故ほしくんを知っているの。
「ほしくん。友達です。間違いない。」
くもくんはもう涙をこられることもできず、情け無い声で言った。
「もえ。星、昨日息を、、引き取った。」
え、、。ほしくんが死んだの。
受け入れられなかった。でも現実に受け入れさせられる。
私はきっとお父さんが死んじゃったときに一生分の涙を使い切ってしまったのだろう。
ほしくんが死んでも涙が出なかった。悲しいのに。辛いのに。
くもくんは辛そうに泣きじゃくってて、慰めることしかできなかった。

それから私達はお父さん達のお墓に花を一緒に持っていったり、悲しみを埋めるようにたくさん遊んだ。
でも、時々凄く悲しくなる。
そうなったら、くもくんに電話をする。2人で決めた約束だった。辛いことがあったら2人で分け合おう、悲しかったら一緒に悲しもうと。