「萌?来てくれたんやなぁ。嬉しいわぁ、元気かぁ。」
珍しくお父さんが起きてきた。
ちなみに相部屋は満員らしく個室だ。値段は張るけれどやっぱり静かな部屋はいい。でも、時々1人で寝ているお父さんの横にすわっているとふとすごく寂しくて、泣きそうになる。何時間喋ったことだろう。
久々に起きてきた父と思い出話に花を咲かせていたらもう面会終了時間10分前になっていた。
「あ、お父さん。面会終了時間近づいてるからもうそろそろ帰るね。今日はありがとう。」
自分の荷物を片付けながらそういってドアを開けようとした。
「萌、。くじけても諦めないで。辛くなったら沢山辛いって言いなよ。そうしたら大丈夫。なんでも乗り越えられるよ。きっとね。」
急に父がそんなことを言った。
もしかしたら、わかっていたのかも知れない。自分がもう長くないことを、、。
「うん。ありがとう。」
そういってドアを開けた。
その時。ばたっと音が鳴った。
一気に不安が押し寄せた。お願い。
希望を胸に振り向いた。
でも、その希望は砕け散った。
お父さんだった。父は血を吐いて倒れていた。
涙でぐしゃぐしゃになりながら、ナースコールをおして、鼻をすすりながら情け無い声で事情を説明して。

お父さんはそのまま息を引き取った。もう、何がなんだかわからなくなるくらい泣きじゃくった。看護師さんたちを困らせているとわかっている。でも、止められない。本当の父親じゃないってわかってるけど、けど私にとってお父さんはお父さんで大好きだった。今でも大好きだ。
私は1週間動けないまま家にいた。
これではくもくんを心配させてしまう。そう思い、充分な睡眠を取れない中、学校にいった。