sideシェリエ

くっ、洗濯ってこんなに手がかじかみますの!?

私は自分の洋服やロロドロア様のお洋服を洗濯していた。
もちろん、洗濯の魔法機械などは上流階級のものであり、そんな贅沢品はこの屋敷には無い。

洗濯板と石鹸で、ごしごし、わしゃわしゃ、洗うのである。

お湯にしたけれど、もう冷たくなっている。
洗濯板にこう!擦り付ければいいのよね!?

一生懸命やって、何とか旦那様が帰ってくるまでに干せた。
だけど、私は疲れ果てて、リビングのソファに倒れ込み、眠ってしまった。

あぁ…
あと、夕飯作りが…

ある…のに…(-_-)zzz

♦︎

目を覚ますと、ベッドの上で熟睡していた。

誰が…
ここまで…?
って、決まっているじゃない。
この屋敷には、ロロドロア様と私しか居ないのだから。

かじかんだ手も綺麗に治っている。

私が起き上がると、サイドのテーブルとチェアに、ロロドロア様は腰掛け窓の外を眺めていた。

「ロロドロア様…」

「シェリエ、気がついたか…」

「申し訳ありません。
まだ、夕食の準備が…」

「俺がそんな事で怒るような器の小さい男に見えるか?
洗濯見たよ、ありがとう。」

ロロドロア様は少しはにかんだ笑顔でそう言って私の髪を撫でた。

「いいえ、つ、妻としての当然の役割ですわ!」

「いや、元貴族の君には辛かっただろう…
綺麗な手もアカギレてしまった…」

ロロド様は私の手にそっと触れる。

「ロロド様…?」

私が首を傾げると、彼はパッと私から離れた。

「夕食にしよう。
俺が作ったから。」

そして、私たちは夕食を食べた。

「明日は休みなんだよ。
仕事がな。」

「…そう…ですの。」

だから、何だと言うのだろうか?

「鈍いな、君も。」

「あら、それだけで分かる方ってエスパーなのでは?」

休み=何だっつーの!
つい、口調が荒くなる。
いけない、いけない。
私は…貴…じゃなくて、もう夫人なのだから。

「だから…
デートしないか?」

旦那様の口から意外な言葉が出た。