sideロロドロア

まさか、自分が『好みのタイプは?』などと聞くとは思わなかった。
そんなセリフはキャピキャピしたご令嬢が俺に聞いてくるいつものセリフだった。

まさか、自分がそれと同じ部類の人間だとは思ってもみなかったのだ。

しかも、彼女ははぐらかした。

好きな男でも居るのだろうか…?
キスはした事が無いと言って居たが、もしかしたら、心に決めた相手はいるかもしれない。

そんなどんよりとした黒い雲が心に立ち込めた。

出来るなら、彼女を俺のものにしてしまいたかった。
心も身体も…

「シェリエ。」

「な、なんですの?」

俺の言葉にいちいち身構える彼女にイラついた。
そんなに俺はケダモノのようだろうか?

「そろそろ、俺たちの結婚式だ。
明日は仕事が休みだから、ドレスを選びに行こうと思う。
挙式はエドヴァ城の教会部分を使わせてもらう事になった。
その後、君の大好きな披露宴舞踏会もエドヴァ城のホールでしていいそうだ。」

俺は淡々と言った。

「まぁ…!
エドヴァ城で!?

皇帝陛下がお住みのエドヴァ城で挙式と披露宴を出来るなんて!
夢のようですわ!!!

…でも、どうして魔導士団・副団長にしか過ぎないあなたにそこまで…???」

《《過ぎない》》?
過ぎなくて、悪かったな!

俺の名前はエドヴァーバ国だけでなく、他国へも轟いているんだぞ!!!
最強魔導士としてな!!!

と言いたかったが、辞めておいた。

「…特別のお計らいだろう。
君は元侯爵令嬢だし、この狭い屋敷で式を挙げるのは可哀想だという陛下のお心遣いじゃないか。」

俺はむしゃくしゃしながら言った。

「そうですの…
やはり、私は可哀想なのですね。」

「い、い、いや…!
すまん、そう言う意味では!!!」

「良いのです。

でもね、一つだけで言える事は…

私はここで、結構幸せですのよ。ふふっ。」

そう言って微笑む彼女はとてつもなく可愛いく、俺は彼女を抱きしめて…キスの雨を降らせ…

だから、そしたら火球が飛んでくるんだよ。
いい加減学習しろよ、俺…

という訳でその日の夜も更けていったのだった。