sideシェリエ

とりあえずお咎めは逃れた。

ロロドロア様は呆れた様子で、椅子に座って私の言葉を待った。

「事件の被害者である娘さんは、黒ずくめの男に連れ去られたようですわ。
深くフードを被っており、顔立ちは不明ですが、体格は中肉中背だそうですの。
ロロドロア様の予想通りに、転移魔法を駆使して、娘さんを連れ去ったとか。」

私は説明した。

「なるほど…
その娘さんの血液型は…もちろん?」

「えぇ、間違いなくC型だそうですわ。」

私は答えた。

「そのほかに何か気になる事は無かったのか?」

ロロドロア様が紅茶を注ぎながら言った。

「えぇ…
それが…」

「どうしたんだ?」

「その黒ずくめの男はこう言っていたそうですわ。
『実験が足りない』と…」

私は言う。

奇妙な言葉だ。
実験?
何の実験をしているのか?
その実験の為に人々を攫っているというのか?

「《《実験》》…か…
確かに奇妙だな。

しかし、まぁ、その話は一旦置いておいて。
団長に血液検査の件を話してみたよ。
明後日には、実施してくれるらしい。」

「まぁ!
では、結果が分かれば教えて下さいね!
絶対ですわよ!?」

私は言う。

「全く…
君と言う人は…

なぁ、シェリエ?」

「なんですの?」

「君が興味があるのは、ダンジョンのモンスター討伐と奇妙な事件の解決だけなのかい?」

「は…?」

質問の意味がわからない。

「つまり、その…
恋愛に興味は?」

「えっ!?」

突然の質問に私は驚いた。

「別に変な事ではないだろう?
君は二十歳だし、いい年頃だ。
ほら、その、好きなタイプとか居ないのか?」

「そ、そ、そんなの!
居ませんわ!

も、もう、ご飯にしましょう!
今日は魚料理ですのよ!」

私はとても焦ってそう言った。

ロロドロア様は納得してなさそうな顔だったが、それでもダイニングについた。