sideロロドロア

彼女が、ずっと考えていた、と言い、俺は希望の光にすがった。
だけど、彼女が考えていたのは、俺にとってはどうでも良い王都の事件の事についてだった。

彼女の事件に対する好奇心や興味に、最初こそ面白い女だ、と思っていたものの、こうなると厄介なものだ、と思ってしまう自分がいる。

とはいえ、魔導士団・副団長という立場上、彼女の話に耳を傾けない訳にはやはりいかなかった。

彼女の提案はこうである。

「私、思いつきましたのよ!

今回の行方不明者の事件では、犯人はC型という血液に着目していますわ。

何故犯人が血に着目したかは分かりませんけれど…

もしかすると…
誘拐された冒険者や王都の人の中に、血液に異常が、いえ、変化がある人が居るかもしれませんわ!

つまり、私の提案は、血液検査をしてはどうか?という事ですの!」

彼女の目は相変わらず輝いていた。

全く困った奥様だ。

しかし、彼女の言う事にも一理あるかもしれない。
そう思った。

「分かった。
明日ゼンスさん、つまり魔導士団の団長に話してみよう。」

俺はとりあえずそう言った。

それよりも、俺の告白についてはどう思っているのだろうか?

そうは思ったが、それを尋ねる事はついにできなかった。
俺もとんだチキンになったものだ。

どんな国でも滅ぼすほどの魔力を秘めている最強魔導士だというのに…

また、酒でも飲むか?
いや、今度はシェリエは屋敷を燃やす火球を飛ばすかもしれんぞ。

そんな事を思うとなんだかおかしかった。