sideロロドロア

魔導士団本部の副団長室にて。

俺は今日初めて《《告白》》というものをしてみた。
そして、初めて振られた。
気持ちいいくらいにキッパリと。

相変わらず部下の持ってきた紅茶はぬるかったが、それを、ぬるいぞ!と怒鳴る気にもなれなかった。

俺が散々言い寄られ、振ってきた女性達はどんな気分だったんだろう。
きっと今の俺みたいに最悪の気分だろう。

仕事などどうでも良かった。
王都の行方不明事件?
犬にでもくれてやれ。

俺は彼女が微笑み返して、私も好きよ。と言ってくれるのを、心のどこかで期待していたのだ。
粉々に打ち破られたが。

もし、好きだと返してくれていたら、すぐにでも彼女を抱き上げて、俺の寝室に閉じ込められたのに…

なんてザマだ…
酷すぎる…

俺があまりにも部下に仕事を振らないもので、少し部下達がざわつき始めた頃。

キリアヌスがやってきた。
昨日の礼を兼ねてだろうが、今は奴の相手をする気分じゃ無かった。

「どうしました?
沈んだ顔をして?
奥方に夜を断られでもしたんですか?」

冗談まじりに言うキリアヌスに俺は「別に。」とだけ答えた。

「なんです、一体どうしたのです?
いつもの鋭い切り返しが無いですよ。」

「お前…
恋をした事あるか…?」

俺は無意識にそんな事を聞いてしまった。

「は?
恋?
それは人生長いですし、二度や三度はありますが…
あなたは恋とは無縁の…

ま…さか…?」

キリアヌスはハッとする。

「そうか、こんな辛い事が二度も三度もあるのか。
ご愁傷様だな。」

「辛い?
まさか、プレイボーイのあなたが相手にされていない、とか…?

ぶっ!!!」

キリアヌスは吹き出した。

「笑うな!」

「すいません、つい。
いや、シェリエ嬢は大した方のようだ。
どこに惚れたんです?
美人というなら、あなたにとっては珍しくも無いでしょう?」

「分からない…」

「おやおや、重症のようですねぇ。
とにかく昨日はお料理ごちそうさまでした。
今度はあなたの居ない時にシェリエに会いに行きましょうかね?」

楽しそうに言うキリアヌスに…

「殺すぞ。」

と言ったら、さらに笑っていた。